つわりで悩んでいる人は、食品の中でも肉・魚によって不快感を感じる人が多いようです。肉・魚の主要な栄養素はたんぱく質ですが、たんぱく質は人体にとって必須の栄養素であり、摂取しないわけにはいきません。摂取されたたんぱく質は、いったん分解酵素によってアミノ酸に分解され、腸から吸収されます。そのアミノ酸から各種のたんぱく質が再合成され、筋肉・内臓をはじめとし、酵素・抗体・神経伝達物質に至るまで、人体を構成するさまざまなものが形作られます。したがって、たんぱく質の不足は、筋肉を衰えさせるだけでなく、免疫機能の低下、知覚障害などさまざまな心身の異常の原因となります。そこで、肉・魚が食べられないときは、その他の食品からたんぱく質を補給しなければなりません。
]]>たんぱく質を含む食品は肉・魚だけではありません。米・小麦などの穀物やそれを原料とした加工食品(パン、パスタなど)にもたんぱく質は含まれています。ただし、肉・魚と比較すると含まれる絶対量がわずかです。そこで、豊富な大豆たんぱくを原料とした豆腐やその加工食品(油揚げ、焼き豆腐、おからなど)が肉・魚の代わりとして適しています。これは、植物性たんぱくを含む食品のほんの一例に過ぎませんが、探せば他にも植物性たんぱくを主成分とする食材は、さまざまなものがあると思われます。ぜひ、豆腐ような癖のない美味しい食材を探し出して、つわりの時期の食生活を充実させてください。
]]>最近、がん患者などの意識として「病気とともに生きる」という発想が広まっています。つわりについても、「つわりとともに生活する」という意識を持つことは必要な心構えであると思われます。前に症状という言葉を使用しましたが、つわりは病気ではなく、本来正常な生理現象であり、つわりを深刻な苦痛と受け止めることはやめるという意識転換ができれば、気分が楽になるのではないでしょうか。
]]>つわりで最も注意しなければならないことは、栄養状態の悪化と体力の消耗です。つわりの時期の胎児はさほどの栄養を必要としないということは事実でしょうが、母体が消耗してしまっては、その後の胎児の発育に重大な悪影響を与える危険性があると思われます。現在、国内の産婦人科学会で問題化している「痩せ妊婦」に関する内外の研究によれば、痩せて栄養状態の悪い母親からは、低体重児や先天性疾患、成人後に成人病を発症する因子を持った子供の生まれるリスクが極めて高いことが判明しています。また、日本人の妊婦のほとんどが出産に必要な栄養・カロリーを摂取していない現状も明らかになっています。
1回の量を少なくし回数を増やすことで食事と水分補給をしっかり行なう、栄養バランスを考慮した上で食べやすい料理を選ぶ、調理しやすい料理を考える、といった工夫により、つわりの間も栄養状態を悪化させないことが大切と思われます。
]]>ただし、妊娠22週までは流産の可能性があり、つわりの時期が過ぎてもまだ安心はできません。この頃には、胎児の染色体異常によって流産する危険性はなくなりますが、母体の異状、特に膣内の細菌が子宮内に感染して起こる絨毛膜羊膜炎に注意が必要です。また、不適切な薬の服用や過労・ストレス・下腹部への衝撃などによっても流産を起こす可能性があります。膣内を清潔に保つことと、過度な疲労・ストレスは避けること、薬の服用に当たっては医師に相談することなどを心掛けてください。
]]>つわりのピークの時期は、とにかくだるくて何もする気になれない人が多いようです。また、眠いのでよく眠れるそうです。妊娠3ヶ月の後半頃というのは、つわりとの戦いによる疲労がピークを迎える時期と言ってもよいでしょう。おそらくこの時期を乗り越えれば、つわりとの付き合い方がより上手になり、精神的にも一段と強くなれるに違いありません。
]]>しかし、中にはつわりが甚だしく重い人もいます。そのような場合、つわりが重症化すると脱水症状を引き起こし、入院治療が必要となります。最悪の場合は、ビタミンB1の欠乏による脳症(ウェルニッケ脳症)におちいるため、水分・ビタミンをはじめとする栄養素の点滴補給が必要となります。
もし、つわりが重い場合には、掛かりつけの医師の診察を受けるべきですが、それ以前に、自分でも小まめな水分補給や食事による栄養補給を怠らないように気をつけましょう。栄養補給は、まず胎児の成長ために必要不可欠なことですが、水分の補給と同様に、母体の健康維持のためにも欠かせません。だるさや眠気で体を動かすのもつらいようなときこそ、無理をしてでもしっかりと食事を摂るようにしてください。
]]>ある機関の調査によると、つわりの始まった時期でもっとも多かったのが妊娠4週から5週(妊娠2ヶ月の前半)で全体の約60パーセントを占め、次が妊娠6週から7週(妊娠2ヶ月の後半)で全体の約25パーセントでした。ほとんどの人が妊娠2ヶ月からつわりが始まったと答えています。ちなみに、中には妊娠3週まで(妊娠1ヶ月)に始まったと答えている人も数パーセントいました。医師によれば、このようなことは「あり得ないこと」だそうです。つわりには精神的な影響も多分にあると言われていますから、単純に生理的な現象として割り切れないものなのでしょう。
]]>一方、同じ調査でつわりが終わった時期については、妊娠16週から17週(妊娠5ヶ月の前半)がもっとも多く、全体の30パーセント近くを占め、次に多かったのが妊娠14週から15週(妊娠4ヶ月の後半)でした。やはり、標準的な期間につわりを経験した人が多いようです。しかし、つわりが終わった時期の第3位は、意外にも妊娠36週から出産までの期間で、実に15パーセント近くを占めています。おそらくこれは、医師の見解ではつわりに含まれないのでしょうが、つわりと同様の不快感を出産時期まで持ち続けた人が少なからずいたことは確かです。
]]>■ムカムカがつづき、何度も吐き気がします。…………ムカムカや吐き気がするからといって、いつも空腹状態にしておくと、返って吐き気を助長します。それに、空腹状態が長くつづくと、げっそりしてしまい、気分的にも良くありません。クッキーやビスケットなど高脂肪ではないものを、いつでも軽くつまめるようにしておくといいでしょう。
■においに敏感になります。…………ご飯や革製品の匂い、化粧品やお酒の香りなど、普段はさほど気にならなかったにおいが、とても鼻に付くという感じに。それが吐き気の引き金になったりしますから、においへの執着心は捨てた方がいいです。
■好きだった食べ物が嫌いになります。…………妊娠したときの味覚の変化はよく見られます。出産を終えると味覚は元に戻りますから、心配はいりません。
■同じものばかり食べてしまいます。…………極端な偏食になったり、食べたいと思ったものを過食したりすることがあります。栄養バランスを保つこと、消化器系に過度の負担をかけないことにも配慮してください。
■毎日だるくて眠気がとれません。…………こういうときは、睡眠不足や眠りが浅いことだけでなく、栄養不足が最も心配です。毎日きまった時間にきちんと食事をして生活のリズムを保つこと、一日当たりの栄養摂取で過不足のない食事を心がけることなどに気をつけましょう。
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